ルーメン ルクス

照明器ごとに表記の異なる明るさスペックルクス・ルーメン・カンデラ・ケルビンの違いや特徴、照明ごとに見るべきスペックを紹介します。

何が何だか…と思っていた方、よろしければ参考にしてください。

ルーメン ルクスの違い

2つの選択肢で悩む女性のイラスト 

ルーメン ルクスの違い

よく比較されるルーメンとルクスの違いは、計測箇所の違いです。

  • ルーメン光全体の光量。
  • ルクス:光が当たった面の明るさ。

わかりやすいように、太陽と地球で図解してみます。

まずは太陽から発せられる全部の光量

これはルーメンになります。

太陽のルーメン 図解

続いて地球が太陽に照らされた面の明るさ

これがルクスです。

ルーメンは広範囲に及びますが、地球に当る光量はそのうちのごく一部だけです。

つまり「ルクス=地球が実際に感じる明るさ」と言えます。

太陽のルーメンと地球のルクス 図解

ルーメンは全光量なので値は変わりませんが、ルクスは光源との距離によって明るさが変わります。

[jin-iconbox07]・ルクスは光源に近いほど明るく遠くなるほど暗くなる。[/jin-iconbox07]

太陽のルーメンと地球のルクス 距離が近いほどルクスが明るくなる図解

ルーメンは照明器具のスペックとしては参考になりますが、実際の明るさ光源との距離・光の指向性・光の集束性によって変わります。

[chat face=”ジーナのイメージ.jpg” name=”ジーナ” align=”left” border=”none” bg=”yellow” style=”maru” ]「高ルーメン=明るい」とは限らないってこと。[/chat]

照明家電で明るさの単位がイロイロあるのは、実際の利用シーンに合った明るさ指標を教えてくれてるからです。

【明るさの指標】

  • ワット(w):消費電力
  • ルーメン(lm):光束
  • カンデラ(cd):光度
  • ルクス(㏓):照度
  • ケルビン(k):色温度

ルーメンの単位

明るさのベースになるのがルーメン(lm)

日本語だと 光束 と表記される、光の総量の値です。

\光源から放たれた光全部の値/

ルーメン 明るさ 指標 違い 図解

ルーメンは単純に光の総量値なので 光のパワーの強弱 は判断できますが、利用状況によっては 値が大きいほど明るい とは限りません。

【同じルーメン値でも明るさは変わる:例】

  • ランタンの様に全方向を照らすタイプの光源:広域に満遍なく分散され、距離が離れるほど暗い
  • 懐中電灯やスタンド照明の様にスポットを照らすタイプの光源:照射されるポイントが絞られるため、光を向けた方向は距離があっても明るい

[chat face=”ジーナのイメージ.jpg” name=”ジーナ” align=”left” border=”none” bg=”yellow” style=”maru” ]とはいえ、基本的な光のパワー値としては、ルーメン(lm)をベースにするのが基本かな。[/chat]

  • ルーメン(lm):光の総量値。

室内照明で重要なのはルーメン

室内照明では、満遍なく広範囲を照らすことが大事なのでルーメン値を基準にするのがオーソドックス。

どのくらいのルーメン値が最適か?は、部屋の広さに合わせて選ぶのが基本です。

ちなみに、明るさの感じ方は年齢と反比例*するので、年配の方は標準的なルーメン値より大きめ(明るめ)を選ぶ方がよいとされています。

*80歳になると20%程度暗く感じる:ライティング・フェア2021 東海大学 竹下秀氏 基調講演資料より

\LEDシーリングライトのルーメン値・畳数の対象表/

LEDシーリングライト適用畳数の表示基準 表
出典:一般社団法人 日本照明工業会

[chat face=”ジーナのイメージ.jpg” name=”ジーナ” align=”left” border=”none” bg=”yellow” style=”maru” ]一般液な日本の住宅のシーリングライトだと、3,000~4,000ルーメンもあればカナリ明るい。[/chat]

カンデラの単位

レンズによって集束された光源の中心の値を カンデラ(cd)と呼びます。

日本語だと 光度 と表記される、光密度の濃い箇所の光の強さです。

\光が集束している箇所の光の強さ/

カンデラ 明るさ 質 違い 図解

照明機器は、レンズや屈折構造で光を集束・拡散させて低電力・低ルーメンでも明るく光らせる仕組みを持つのが一般的。

光源の中心で計測されるカンデラは、その照明機器の実質的な光の強さとも言えます。

[chat face=”ジーナのイメージ.jpg” name=”ジーナ” align=”left” border=”none” bg=”yellow” style=”maru” ]カンデラの中心は、値が大きいほど間違いなく明るい。[/chat]

ルーメンと違って、光源のパワーとは別の レンズ・屈折構造などの性能 が大きく影響する値です。

  • カンデラ(cd):光が集束している箇所の光の強さ。
  • 特徴:光源の性能よりも、レンズ・屈折構造などの性能によって値が変化する。

車・バイクのライトで重要なのはカンデラ

車やバイクなど、ライト性能に重要なのはカンデラ(cd)です。

ガレージでバイクのヘルメットを磨き込む男性のいる風景

バルブのカタログスペックには、ルーメンしか記載されないのが常ですが、ルーメンはあくまでも光の総量なので、値が大きいからといって前方向を明るく照らす性能が高いとは限りません。

実際、ルーメン値が高くても、カンデラ値が低いとかなり暗くなり、車検にも通りません

ちなみに、車・バイクのライトには光の指向性にも決まりがって、充分なカンデラ(光度)を持ったランプをつけるだけではなく、光の向きも調整する必要があります。

\車・ライトの光軸検査は光の中心の向きも見る/

[chat face=”ジーナのイメージ.jpg” name=”ジーナ” align=”left” border=”none” bg=”yellow” style=”maru” ]パーツの明るさスペックカンデラ値でチェックし、光軸ディーラーや光軸屋さんで調整するのが基本。[/chat]

  • 車・バイク・懐中電灯などで重要なスペックはカンデラ(光度)
  • ただし、カタログにはルーメンしか表記されていないことがほとんど。
  • ルーメン値が高くても、カンデラ値が低いと明るさを感じられない

ルクスの単位

ルクス(lx)は、光が面に当たったときの1平方メートルあたりの光の量です。

日本語だと 照度 と表記されます。

\照らされた面の光の量/

ルクス 明るさ 質 違い 図解

光は距離があるほど減衰するので、ルクスは測る位置によって値が変わります。

カタログに「◎◎cm離れた時に◎◎ルクス」といった表記がされているのはこのためです。

ちなみに、ルクスだけ表記されている時は、光源から1cm程度離れたところの照度を記載していることがほとんど。

ルクスは値も大きいので「なんかすごく強力そう…!」と思っても、30センチ離れただけで1/10以下になることも多いで注意が必要だったりします。

[chat face=”ジーナのイメージ.jpg” name=”ジーナ” align=”left” border=”none” bg=”yellow” style=”maru” ]「◎◎cm離れた時…」の表記があるメーカーほど、良心的&スペックに自信のある製品のことが多い。[/chat]

(例)

  • カタログスペック20,000lxの照明機器の30cm距離のlx=2,500lx
  • ルクス(lx)照らされた面の光の量。
  • 特徴計測する距離によって値が大きく変わる。

デスクライト・光目覚ましで重要なのは◎◎cm距離時のルクス

デスクライトや光目覚ましは、手元・目元でどれだけの光量があるのか?が大事なので、「◎◎cm時の照度=ルクス」が重要です。

デスクライト

通常のシーリングライトだと、床面から1mくらいの高さで500lx程度もあればかなり明るい方。

ですが、勉強光目覚ましに理想的な明るさはもっと大きいので、シーリングライト以外に光源を追加するのが理想。

【目的別 欲しい明るさ】

  • 読書:300lx~600lx
  • 勉強:1000lx~1200lx
  • 光目覚まし:2500lx~

デスクライトや光目覚ましのように、決まった位置に決まった光量が欲しいときは、「◎◎cm距離時のルクス」をチェックし、適切な距離に光源を設置するのが失敗しないコツです。

ケルビンの単位

ケルビン(K)は光の色を表す指標で、光の強さや明るさとは直接関係ありません。

日本語だと 色温度 と表記されます。

\光の色味の違い/

ケルビン 色違い K値 イラスト 図解

カンデラ(K)値が低いほど暖色系の色味で、4200Kで白色に、値が上がるほど寒色系の色味を帯びます。

【自然の光・日常の光源とカンデラ値(目安)】

  • 朝日や夕日・ろうそく:約2000K
  • 白熱電球や電球色の蛍光ランプ:約2800K
  • 太陽光・昼白色のランプ:約 5000~6000K

[chat face=”ジーナのイメージ.jpg” name=”ジーナ” align=”left” border=”none” bg=”yellow” style=”maru” ]カンデラは、明るさではなく光の色味の規格ってとこ。[/chat]

  • ケルビン(K):光の色味。
  • 特徴:ルーメン・ワットなどの影響を受けない。

ワットの単位

電球のイラスト

ワット消費電力の値です。

全く同じ構造の光源なら、ワット数が大きい方がより明るくなり、「ワット数が大きい=明るい」の方程式が成り立ちます。

同じ内部構造の電球を比較する時にはワット数比較も参考になりますが、最近では低電力仕様・LED・色味などもあるので、「ワット数=明るさ」が成り立たないことも多いです。

比較するときのほとんどは、複数のメーカーや製品を比較することになるので、明るさの指標としてはあまり参考になりません

  • 同じ構造の光源:ワット数が大きい方がより明るい
  • 異なる構造の光源:ワット数が大きいからと言って、明るいとは限らない

ルーメン・ルクス 換算

人_ホワイトボードにロジックを書き込む男性

ルクス⇔ルーメン換算

ルクスの定義は「1㎡あたりの光束量」となるので、以下の式が成り立ちます。

  • 1ルクス=1ルーメン/㎡

でも、ルクス⇔ルーメンの換算を知りたい方は「◎◎ルーメンだと〇〇ルクスになるか?」が知りたいんですよね?

となると、「ルーメン情報だけではルクスは算出できない」と言うのが答え。

ルクスは物体を照らす表面の明るさなので、正しく計測するには、カンデラ値・対象の面積が必要だからです。

ルクス+カンデラの値があれば、以下の式で算出できます。

[jin-iconbox08]【ルクスの算出方法】

・ルクス(照度)=カンデラ(光度)/D2*
*照らされる面積 D(m)[/jin-iconbox08]

ちなみに、ルクスをルーメン値だけで算出するのは不可能ですが、照度テスターという製品が市販されているので、テスターを使って計測する方がはるかに現実的で簡単です。

ルクスはテスターで簡単に測れるので、ルクスの算出方法は敢えて覚える必要はないと思います。

ただ、ルクスで抑えておきたいのは、距離が離れるほど乗で減衰するという点。

ほんの数十センチでもルクスは驚くほど下がるので、光源の設置場所が重要になります。

【ざっくりとしたルクスの減衰率】

  • 距離が2倍になる:1/4
  • 距離が3倍になる:1/9
  • 距離が4倍になる:1/16

[chat face=”ジーナのイメージ.jpg” name=”ジーナ” align=”left” border=”none” bg=”yellow” style=”maru” ]デスクライト・光目覚ましは、照射面に近い位置で使うのが基本かな。[/chat]

カンデラ⇔ルクス換算

カンデラ⇔ルクス変換が必要な方は、たぶんヘッドライトのカタログスペックからカンデラ値を出したい方がほとんどカナと思います。

こちらも ルクスだけでカンデラ値を出すのは不可能です。

理由は、カタログから立体角が読み取れないから…。

【ルーメンとカンデラの換算式】

ルーメン(光束)は、カンデラ(光度)と立体角をかけたもので、以下の式で算出できます。

  • ルーメン=カンデラ×立体角(ステラジアン)

立体角は、カタログに記載されることはありません

メーカーに問い合わせても教えてくれることはまずないので、ディーラーやテスター屋さんのテスターで測ってもらうしか、カンデラ値を知る方法はありません。

[chat face=”ジーナのイメージ.jpg” name=”ジーナ” align=”left” border=”none” bg=”yellow” style=”maru” ]カタログスペックからカンデラ値を導き出すのはまず無理。テスターも市販されてないので、知りたい方はプロに頼むしかない。[/chat]

ルーメン・ルクス・カンデラ・ケルビン 比較

明るさは、何&どこをフォーカスするかによって値が増減するのが特徴で、目的によって最も欲しい明るさ指標も変わります。

  • 特定の値が高いからといって、どんなシーンでも明るいとは限らない
  • ある値の数値は低くても、異なる数値はとても高い事はよくある。

[chat face=”ジーナのイメージ.jpg” name=”ジーナ” align=”left” border=”none” bg=”yellow” style=”maru” ]その機器に合った明るさスペックを見極めるのが大事。[/chat]

【明るさ指標一覧と特徴・比較】

  ワット ルーメン カンデラ ルクス ケルビン
w lm cd lx K
日本語表記 消費電力 光束 光度 照度 色温度
計測場所 電力 光の総量 光の中心 照射面 光質
特徴 同スペックなら値が大きいほど明るい。 光の基本スペック。 ランプ・鏡面構造による光の集束性能。 実用距離での明るさ。 色味。

ルーメン ルクス まとめ

ケルビン 色違い K値 イラスト 図解

照明機器のカタログでよく見る明るさ指標 ルーメン(光束)は、あくまでも光の総量でしかなく、値が大きくても機器によっては明るいとは感じられないこともあります。

正直、機器の特性に応じてルーメン以外の指標を併記して欲しいのが正直なところ。

実際、ユーザーに優しいメーカーでは、実利用に即した指標を記載している場合もあります。

【機器によって変わる現実的な明るさ指標】

  • 室内照明:ルーメン(光束)。
  • 車やバイクのヘッドライト:カンデラ(光度)。
  • デスクライトや光目覚まし:ルクス(照度)。

ただし、ほとんどの製品はルーメンのみ記載しているのが現実ですね。

ちなみに、ルーメンだけで他の数値を算出できればまだよいのですが、カタログ記載のスペック+ルーメンだけで、カンデラやルクスを算出するのはまず不可能

どうしても知りたいときは、以下の手段をとるのがおすすめです。

◎ルーメン値を知りたい!

  • 基本、どの機器にも記載があるので、仕様欄をチェックすればOK。

◎カンデラ値を知りたい!

  • 市販のテスターはないので、業者で計測してもらう。

◎ルクス値を知りたい!

  • テスターが市販されているので、テスターで計測する。

明るさにはいろんな指標があって混乱しがちですが、大事なのは次の1点。

[jin-iconbox07]・ルーメンが大きいほど明るいとは限らない。[/jin-iconbox07]

照明機器ごとに重要な明るさ指標があるので、機器に応じた指標をちゃんと見極めて、正しく比較することが照明機器選びのポイントです。

[chat face=”ジーナのイメージ.jpg” name=”ジーナ” align=”left” border=”none” bg=”yellow” style=”maru” ]ルーメンは値も大きくて強そうですが、ルーメンだけに惑わされちゃだめってことだけは間違いない。[/chat]


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